プラスチックのサーキューラーエコノミー実現に向けて:九大 北岡教授に聞くCNF事情(1)

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この記事では…

われわれが今後、プラスチックとどのようにかかわっていくべきか、バイオマスマテリアルを専門に研究する九州大学 大学院農学研究院
北岡卓也教授に話を聞いた。今回は、プラ新法や「3R+Renewable」について解説する。

(執筆:松永弥生/ライター)

2022年4月1日、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行された。

プラスチックは、私たちの生活に欠かせないモノであるが、地球環境を考えた時、今のまま使い続けるわけにはいかない。製造者もユーザーも「意識の変容」が求められている。

樹木由来のバイオマスマテリアルを専門に研究する九州大学 大学院農学研究院 教授 北岡卓也氏に、私たちに課せられた問題について伺った。

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九州大学 大学院農学研究院 教授 北岡卓也氏

「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」とは

「プラスチック製品は非常に便利なモノで、われわれの社会生活水準を大幅に引き上げてくれた功労者」と、北岡氏は言う。けれども、石油という有限の埋蔵資源から製造されること、その製造・廃棄に固定化された二酸化炭素を大気に放出してしまうという問題点がある。

こうした課題を解決するために、2022年4月1日施行されたのが「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(通称「プラ新法」)だ。

環境省が公開している「プラスチック資源循環」の特設サイト(https://plastic-circulation.env.go.jp/)を開くと「プラスチックは えらんで 減らして リサイクル」の文字が目に飛び込んでくる。

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(出所:「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラ新法)の普及啓発ページ」環境省)

プラ新法は、プラスチックの 3R(Reduce:発生抑制、Reuse:再使用、Recycle:再資源化)+Renewable(再生可能性原則)を促進するために制定された。海洋ゴミ、地球温暖化、資源の枯渇といった地球規模の課題に対して、プラスチックのライフサイクル全体を見直そうというものだ。

政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すと宣言、製品の設計段階から環境に良いものを考えられるよう、プラスチック仕様製品設計指針も法律で定められた。

それを受けて企業原料もバイオマスなどの再生可能資源に変えていく動きが加速してきている。ユーザーにも、そうした製品を選択する意識やリサイクルに協力する姿勢が求められている。

「今の生活様式は、持続可能性がない」という共通認識を、皆が持たなくてはならない。大量生産・大量消費の使い捨てから、持続可能性社会実現に向けて意識の変容が求められている。

期待される森林資源の活用

持続可能性という点から、再生可能資源として、今、注目を集めているのが、CNF(セルロースナノファイバー)だ。このCNFは樹木から取り出される。そこで森林資源についても注目が集まっている。

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日本は、国土の約70%を森林が占める世界有数の森林国だ。木材利用の歴史が長く、森林を持続可能な形で利用してきた歴史がある。ここに、日本の優位性があると北岡氏は言う。

今、地球温暖化で問題になっている温室効果ガスは、二酸化炭素(CO2)だ。CO2は、プラスチックも木でも、有機物を燃やせば必ず出てくる。

プラスチックの場合は、製造過程でもCO2を排出する。しかし樹木の場合は、CO2と水を使って光合成し、成長する。つまり、空気中にあるCO2を木が消費してくれるのだ。これをCO2が固定化された状態と言う。

もちろん、現在、資源に使われている石油や石炭もCO2を固定化している。だが、石油や石炭ができるまでに数億年の時間がかかるうえ、人間が作ることはできない。

その点、樹木は成長期に一番多くCO2を固定化する。人間が森林を適切に管理することで、空気中のCO2の効率的な固定化をすることが可能なのだ。

「3R+Renewable」のお手本産業は?

「ただし、樹木が15年かけて育ちCO2を固定化したら、それで作った製品を15年以上使わなければ、帳尻が合わない」と、北岡氏は指摘する。

単にプラスチックの原料をバイオマス由来のものに置き換えるだけでは、現在、われわれが抱えている課題の解決にはつながらない。

例えば、「紙パルプ産業は、非常にゼロエミッションな優等生産業」と北岡氏は言う。

なぜなら、木を植えて育て、木からパルプを作り紙にする際、木の成分の半分をエネルギーとして使い、そのエネルギーを使って紙を作っているからだ。そして、さまざまな紙製品を作り、古紙の回収および再利用をしている。

古紙は、平均で4~5回ぐらいリサイクルされているが、日本は古紙回収率も古紙利用率も非常に高い。サーキュラーエコノミーのお手本のような産業だ。

今後は、プラスチックも紙と同じようにプラスチックの3R+Renewableを目指さなくてはならない。

(次回へ続く)
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松永弥生(まつなが・やよい)

⁠関西を中心に活躍するフリーライター。2000年からロボコン観戦を始め、三月兎のハンドル名でイベントレポートや動画で情報発信を開始。編集部からの依頼でライターデビュー。以来、ロボットや製造業関連ニュースをメディアに発信してきた。得意分野は、ロボットと製造業。モノづくりが大好き。文章講座やプレスリリース講座の講師としても活動中。