豊かな森林資源を活用し、CNFで地方創生を目指す!:横河バイオフロンティアに聞いたバイオプラ動向(2)

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この記事では…

横河バイオフロンティア伊賀氏のインタビューに基づき、バイオプラスチックの市場について解説する。今回は、CNFでの地方創生について取り上げる。

(執筆:松永弥生/ライター)

>>前回(製造業での脱炭素の取り組み動向)

技術はイノベーションの非常に重要な要素

「そもそもCNF(セルロースナノファイバー)市場の立ち上げを当社だけでできるとは思っていません。そこで産業界に向けて明確なメッセージを出し、市場に対して宣言をして、当社の理念に賛同する方々、一緒にやりましょう! と、そんな思いで新会社を作りました」と横河バイオフロンティア 代表取締役社長の伊賀光博氏は言う。

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横河バイオフロンティア 代表取締役社長 伊賀光博氏

横河バイオフロンティアの親会社である横河電機は、プラントなどを設計する段階で電気系コントロールシステムや計測機器などを入れる会社だ。畑違いの化学材料業界に参入するにあたっては、2015年位からプロジェクトを温めてきたそうだ。

さまざまなプロジェクトを検討してきた中で「技術はイノベーションの非常に重要な要素である」と伊賀氏は考えたという。

化学エンジニアや化学材料の販売をする人材は、新たに専門家を集め、プロジェクトをスタートした。しかし社内で技術蓄積のために研究開発をしていては、5年10年はあっという間に過ぎてしまう。そこで、一緒にゴールを目指すパートナーを募る方向に舵を切ったのだ。

それならば、短期間にマーケットに入っていけるからだ。動きの速いマーケットトレンドに乗り遅れないための判断だった。

具体的には、ナノセルロースに関しては、国内・海外のパートナーと技術開発を進めている。リグニンに関しては、スイスのBloom社に出資をして、共同関係を進めているそうだ。「こうした関係性のおかげで、素早く市場に参入でき、顧客との会話を始めることができました」と伊賀氏は言う。

横河バイオフロンティアのビジネスモデル

横河バイオフロンティアのビジネスモデルは、3つの柱がある。

1つは、自社製品であるナノセルロースやリグニン製品をユーザーに提供。2つ目は、共同研究開発で、ユーザーからの要望に応え性質を特化したS-CNF(硫酸エステル化セルロースナノファイバー)の提供だ。

3つ目は、ライセンス契約の提供になる。

経済産業省は、技術開発が進み製造コストが下がれば、CNF関連の国内市場は2030年に1兆円にもなると見込んでいる。同省では、研究開発や産学官のネットワーク作りを積極的に支援している。

これを実現するためには、今のプラスチックと同規模のプラントが世界中で必要となるだろう。

「これに関しては、横河バイオフロンティア一社ではできないと思います」と伊賀氏は言う。

だから、日本国内や海外で材料を大量に必要とする企業に対し、ユーザーもプラントを作り、同社の技術を使って生産していただく。そういうライセンスビジネスを考えているということだ。

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横河バイオフロンティアのビジネスモデル(出所:横河バイオフロンティアのビジネスモデル)

森林資源を活用した地方創生を目指す

海外のパートナーと技術開発を進めつつ、伊賀氏は「日本で市場を立ち上げる」ことにこだわっている。

それは、環境対策意識の高い消費者のいる市場があり、非常に技術レベルの高い化学会社が日本に存在し、化学産業と同時に、森林資源、そして紙パルプ産業がきちんと存在しているからだ。

日本は戦後の植林政策のおかげで、森林資源が豊富だ。しかし、山村の過疎化や高齢化等も相まって、林業生産活動は低迷している。また、山林の傾斜が急でけわしいため、資源管理と伐採が難しいという問題もある。

「そういった問題は、豊富な林業経験から得られる知恵と発想を根幹に、ロボットの導入による効率化、クラウドやIoTや衛星による効率的な森林資源管理などの技術で解決できるでしょう。日本の森林資源をいかに活用するかを考える必要があります」

日本の森林は、全国で成熟期を迎えている。日本のように、人が住んでいるすぐそばに豊かな森林があるのは、世界を見渡しても珍しい。

地方にある森林資源を活かし、地方で材料を作り、地方が新しい産業を作って豊かになっていく未来を提供していきたい。「我々は、森林資源を活用した地方創生を視野にいれています。日本国は従来の産業を大きく変える可能性のある豊富な森林資源を保有していることに気が付かなければなりません。それは前の世代が我々にくれた宝物にちがいありません」と伊賀氏は語った。

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>>>>連載「横河バイオフロンティアに聞いたバイオプラ動向」一覧 

松永弥生(まつなが・やよい)

⁠関西を中心に活躍するフリーライター。2000年からロボコン観戦を始め、三月兎のハンドル名でイベントレポートや動画で情報発信を開始。編集部からの依頼でライターデビュー。以来、ロボットや製造業関連ニュースをメディアに発信してきた。得意分野は、ロボットと製造業。モノづくりが大好き。文章講座やプレスリリース講座の講師としても活動中。