中小企業もビジネスチャンスな「脱炭素」:横河バイオフロンティアに聞いたバイオプラ動向(1)

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この記事では…

横河バイオフロンティア伊賀氏のインタビューに基づき、バイオプラスチックのビジネスについて解説する。今回は、製造業での脱炭素の取り組み動向について取り上げる。

(執筆:松永弥生/ライター)

2021年1月、横河電機株式会社が100%出資し、横河バイオフロンティア株式会社を設立した(発表は3月)。同社は、化石資源に由来するプラスチックの代替として使用できる、ナノセルロースやリグニンモノマーなど植物由来のバイオマスマテリアルの開発と商業化に注力し、持続可能な炭素循環の実現を目指すという。

マイクロプラスチックによる海洋汚染が世界中で話題になり、プラスチックの減量化が厳しく求められている中、異業種から素材業界に参入する同社の狙いはどこにあるのだろうか? 製造業での動向や同社事業、同社が見据える未来について、横河バイオフロンティア 代表取締役社長の伊賀光博氏に伺った。3回に渡って記事をお届けする。

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横河バイオフロンティア 代表取締役社長 伊賀光博氏

脱炭素のトレンドがいよいよ本格化

2021年、横河バイオフロンティアは「関西 サステナブルマテリアル展」(6月開催)、「サステナブルマテリアル展(東京展)」(12月開催)にブース出展をした。

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サステナブルマテリアル展(東京展)会場

ブースへの来場者は、両展示会で800社を超えたそうだ。「予想以上の来場者数に驚きました」と伊賀氏は言う。

伊賀氏は来場者との会話の中で、企業が本気になって石油の代替材料を探し始めたのを感じたそうだ。これまでも脱炭素の動きはあったが、企業はまだどこか本気ではなかった。それが、今は各社が役員クラスの指示で、目の色を変えて本当に使える代替材料を探す動きが出ている。

同社には、国内の大手企業はもちろん、海外からも問い合わせがあるといい、伊賀氏は脱炭素のトレンドが本格化した手ごたえを感じているそうだ。

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関西 サステナブルマテリアル展における、ゲル化のデモ

>>関連:「関西 サステナブルマテリアル展」で見たバイオプラスチックのいろいろ

2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けて

こうした背景には、菅義偉元総理が2020年10月の所信表明演説で「温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする。2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言したことがあるだろう。

環境省は、金融安定理事会(*1)が設置したTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosure:気候関連財務情報開示タスクフォース)に対して、正式に賛同の意向を示した。同省は、炭素税の本格導入に向け「地球温暖化対策税」の見直しも提案している。

炭素税とは、石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料に、炭素の含有量に応じて税金をかけ、化石燃料やそれを利用した製品の製造・使用の価格を引き上げることで需要を抑制し、結果としてCO2排出量を抑えるという経済的な政策手段だ。

今はまだ検討段階だが、近い将来に日本でも炭素税が導入されるのは確実だろう。「例えば、全売り上げの5~10%が炭素税で持っていかれてしまうかもしれない。これは、企業役員が本気で脱炭素を目指す重大な根拠になります」と伊賀氏は言う。

*1)金融安定理事会:主要25カ国・地域の中央銀行、金融監督当局、財務省、主要な基準策定主体、IMF(国際通貨基金)、世界銀行、BIS(国際決済銀行)、OECD(経済協力開発機構)などの代表が参加している。

脱炭素化は、中小企業にとってビジネスチャンス?

伊賀氏のお話で、脱炭素に向けて企業が代替素材を探し始めているのが伝わってきた。ところで、日本の企業の99.7%を占める中小企業において、脱炭素のトレンドはどのように受け止められているのだろうか?

「中小企業は、この変革にビジネスチャンスがあると考えているのではないでしょうか?」と伊賀氏は言う。

日本発のお米のプラスチック「ライスレジン」や、石灰石を主原料にプラスチック、紙の代替製品を成形する「LIMEX」など、中小企業の中で新規事業、あるいはスタートアップとしての取り組みも出てきているからだ。

とはいうものの、研究開発費の捻出が難しい中小企業にとっては、この変革にどう対応していくべきか悩ましい問題だろう。

これに対して、環境省はサイト内に「中小規模事業者のための脱炭素経営ハンドブック(*2)」を掲載している。

同省は「脱炭素化の動きにいち早く対応することが、中小企業の更なる成長の実現にもつながる」とし、脱炭素経営によって期待されるメリットをケーススタディをあげて紹介するほか、参考資料として補助金や利用可能な金融機関の支援の情報を掲載している。

ぜひ一読されてはいかがだろうか?

*2)中小規模事業者のための脱炭素経営ハンドブック(PDF)https://www.env.go.jp/earth/SMEs_handbook.pdf
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>>>>連載「横河バイオフロンティアに聞いたバイオプラ動向」一覧 

松永弥生(まつなが・やよい)

⁠関西を中心に活躍するフリーライター。2000年からロボコン観戦を始め、三月兎のハンドル名でイベントレポートや動画で情報発信を開始。編集部からの依頼でライターデビュー。以来、ロボットや製造業関連ニュースをメディアに発信してきた。得意分野は、ロボットと製造業。モノづくりが大好き。文章講座やプレスリリース講座の講師としても活動中。