高額なコーヒーマシンが大ヒットした理由とは?:ツインバードに突撃取材!(2)

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この記事では…

家電メーカーツインバードに突撃取材! 同社のコーヒーメーカー開発の裏側に迫る。

⁠(執筆:おりも みか/製造業ライター)


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>>前回

岡田氏の熱いコーヒーへの思いと、“コーヒー界のレジェンド”である田口護氏という大きな後ろ盾を得て、全自動コーヒーメーカーの開発は進む。しかしメーカーとして新製品を発売するために、クリアしなくてはならない問題が立ちはだかる。


⁠――この製品は売れるという見込みはあったのでしょうか?

岡田氏:市場の動向として、コーヒーメーカーの高機能機種は堅調で、「ホームコーヒーには活路がある」というのが私たちの考えでした。大手メーカーでも高機能コーヒーメーカーは3万円以下という時代。社内ではそれ以上の価格帯では「絶対に売れるわけがない」という意見が大多数でした。しかし、こだわりぬいた仕様。絶対に譲れないところは、絶対に譲れません。そこで開発チームと調達チームで「もうこれ以上は無理」というところまで仕様を見直してコストダウンを行い、大手メーカーの価格に近付けたのですが、それでも厳しい見方が多かったです。
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⁠――社内でも厳しい評価だった製品が、どのように大ヒット製品に成長したのでしょうか。

岡田氏:田口先生のメソッドを忠実に再現し実装することができたので、おいしいと思ってくれる人、気づいてくれる人が必ずいるはずだという思いは持っていました。発売していきなり売れ出したわけではなく、会社としてもさまざまなイベントを開催しました。田口先生のカフェ・バッハグループのバリスタさんたちが広告塔になってくれて波及効果でどんどん広がっていきました。当社の営業担当者も対面イベントでお客さまに勧めると本当においしいという反応が返ってきて、購入してくれる。すると自分でなぜおいしいコーヒーが淹(い)れられるのか、抽出や温度などを勉強するわけです。販売店の方もお客さまも喜んでくれて結果が出てくると、一体感を持って「この商品はいいものだ。みんなで売っていこう」という雰囲気が全社的に出てきました。結果として売上にも貢献できましたし、いい事例が作れたと思います。
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――ヒット商品となる秘訣はなんだったのでしょうか。

岡田氏:メディアでも取り上げていただき、本当にいい意味でヒット商品と呼ばれるところまでたどり着きました。発売後5年経っていますが今でも安定的に売れています。このような特に他社製品との差別化の強い製品を企画する上では、マーケティングの定量的なデータももちろん大切ですが、それだけでは埋もれてしまう。やはり自分たちが良い、正しいと思うブレない軸、誰に何を言われても揺るがない情熱が大切だと部下には話しています。もちろん客観的な意見に聞く耳を持つ素直さも必要です。
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――印象に残っている出来事はありますか?

岡田氏:私の両親は発売するとすぐこのコーヒーメーカーを購入し、ずっと使ってくれているのですが、母が「お父さんとの会話が増えた」と喜んでくれたんです。おいしいコーヒーが家で淹れられるので、父も地域のいろいろなコーヒーロースターに行って豆を買ってきて、ちょっとうんちくを語りながら母にコーヒーを淹れているようなんです。コーヒーを通じて、家族の時間が豊かになる。このコーヒーメーカーの本質はそういうところなのではないかと感じます。


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⁠――ツインバードではリブランディングを進める中で「匠プレミアム」というブランドラインが誕生していますが、コーヒーメーカーの開発とどちらが先だったのでしょうか?
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⁠岡田氏:
実はこのコーヒーメーカーがターニングポイントとなって、「匠プレミアム」というブランド体系ができました。2023年11月に「匠ブランド」ラインの第3弾として「匠ブランジェトースター」が発売されています。これからどんどん加速していく単独・少人数世帯のライフステージ、これからの時代に沿った商品を提供していきます。ツインバードの商品がつながり、ラインナップで揃えていく。“TWINBIRD沼”にはまっていただきたいという思いがあります。最終的には燕三条地域のカトラリーも合わせてダイニングを作っていく。家電だけではなくて燕三条という地域の魅力を併せ持ったライフスタイル提案をしていきたいですね。

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⁠――メイドイン燕三条にこだわっているのですね。

岡田氏:このコーヒーメーカーはコーヒー豆を均一な粒度で挽くステンレスミル刃に特長があります。まさに燕三条地域が得意とする金属加工技術が必要不可欠です。だから開発当初から、この製品は日本で製造したいという思いがありました。長く継続的にやっていくためには、お互いのメリットを引き出せる関係性でなくてはならないと思います。


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――岡田さんの理想のコーヒーメーカーは完成しましたか?

岡田氏:味の面では本当にいいものができたという自負がありますが、実はまだ納得できていない部分があります。やり残したものを全部実現させたものを作りたい。更なる極みというところで、日々考えを巡らせていますので、今後のツインバードのコーヒーにぜひご期待ください。

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⁠「世界一おいしいコーヒー」という社長の発端から始まったプロジェクトは、岡田氏の情熱が周囲を巻き込んでいく形で結実し、大ヒット製品となった。次回は、実際に製品を作っている成形工場や組立工場に突撃する。
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新卒入社した玩具製造メーカーにて品質・生産技術担当として日本国内・中国工場での新規ライン立ち上げを経験。玩具、アミューズメント機器、医療機器、健康雑貨など主にプラスチック製品の開発・製造に携わる。結婚を機に退職し、現在は育児の傍ら製造業ライターとして活動中。⁠Twitter ID:@jilljean0506